オリモノに困って受診する患者さんが時々いらっしゃいます。抗生剤で治療するとすぐに軽快しますけど、その後カンジダ膣炎になることが有ります。漢方薬が飲める人は竜胆瀉肝湯一貫堂を内服すれば軽快するので私はすすめています。
一般的に竜胆瀉肝湯は瀉火(鎮静)と柔肝(自律神経の安定)の組み合わせからなります、温清飲の方意に似るが、さらに清熱・利水の薬物の配合がある所が異なります。瀉火薬と清熱の・水薬は共同して心肝火旺を鎮めるので、イライラ・怒りっぽい・のぼせ・頭痛・不眠等の改善効果が高く竜胆草が平肝(自律神経の安定)熄風(鎮静剤)に働くのでふらつき・めまい感などにも有効です、地黄・当帰・車前子は肝・腎の陰液を滋潤(潤す薬)して陽気を抑制する効果を持ち、また瀉火薬(鎮静剤)による乾燥傾向を防止するので、長期間内服しても安全です。
本方の含まれる木通・沢瀉・車前子などの利水薬は、体内の熱を排泄するという考え方で配合されており、心肝火旺を間接的に改善します。
中国では、高血圧の頭痛・ふらつき・のぼせ・いらいらなどに本方を良く用いており、また突発性難聴や耳鳴りにもファーストチョイスにしています。この種の突発性難聴や耳鳴りには、精神的な因子を基調として発症し、自律神経系を通じた伝音機構の異常緊張による症候と考えています。うつ状態・緊張・いらいらなどの肝気鬱結の症状が顕著な場合には四逆散・大柴胡湯等を合方するが、一般的に柴胡・白芍を配合して用いるほうがよいと思われます。
なお、本方に瀉火の黄連・黄柏・連翹と補血・柔肝の白芍、および疏肝解鬱の川芎・薄荷と祛風・止痙の防風を加えた一貫堂の竜胆瀉肝湯は、さらに瀉火・柔肝・疏肝の効能が加わって、より全面的な清肝瀉火剤になっている。本方には四物湯の配合があるので調経(月経を調整する)にも使用出来る利点が有ります。
一貫堂の竜胆瀉肝湯は処方構成からすれば竜胆瀉肝湯と温清飲の合方にほぼ相当するので、両者を合わせて用いても良いと思われます。