今日はフクロウ症候群に対する苓桂朮甘湯の使用経験を書きます。
山本巌が1980年の東医雑録に「朝起きが得意で活気があり寝つきが良いヒバリ型」と「朝が苦手で午後3時以降になると元気になるフクロウ型」に大別される事を記載されています。
その後、熊大の発達小児に勤務されていた、三池輝久教授がフクロウ症候群について詳しく調査され研究発表され一般人でも読める本を書かれました。三池先生は漢方薬ではなく生活リズムの調整が上手くいっていないとの考えに基づいてカウンセリング療法、朝から日光を浴びるなどの生活療法、昇圧剤やメラトニン等の薬剤を使用され効果を上げられました。
三池先生はフクロウ症候群の概念を世に広め西洋医学的治療を行われました。
漢方医学的治療を行ったのは、山本巌先生で苓桂朮甘湯を処方されておられます。九州では、福富稔明先生が、山本先生の外来に定期的に通い一貫堂医学を継承されました。福富先生は小郡で開業され
に引き継がれました。福留先生が亡くなられた後、久留米大学医療センターで第三医学研究会として講習会が会っていました。熊本からは、村上内科の村上先生と私だけが参加していました。
一貫堂医学とは以前から縁があり、飯塚病院に勤務していた時、兵庫県立尼崎病院東洋医学科に行きました。部長の松本克彦先生は一貫堂医学をされておられました。中医学を勉強していた私にはフィトしました。ちょうど上海中医学院に飯塚病院から研修に派遣され帰国した後でしたので楽しく、勉強させていただきました。幸い長瀬先生の外来の陪席をさせていただき、とても勉強になりました。以来、中医学と一貫堂医学の勉強を続けています。
久留米大学医療センターの漢方医学担当の恵紙英昭先生は精神科医として、フクロウ型の中・高生に漢方処方で苓桂朮甘湯を使用されています。
当院でも、月経関連の悩みで受診されますが問診するうちにフクロウ症候群に近い女子学生さんが結構おられます。母親と一緒に受診されることが多く、一緒に治療方針などを考えていきます。月経困難症や・月経過多症に対して、低用量ピルやジェノゲストで対応することもありますが、痛み止めや漢方薬で対応することもあります。同時にフクロウ症候群に対して苓桂朮甘湯を処方するといい感じになり、学校に行きたがらない女子学生さんも元気に登校し、学校生活を楽しんでいます。
最近、コロナの影響で漢方薬の出荷規制がかかり流通が上手く行かない漢方薬があります。その一つに苓桂朮甘湯が入っていて、苓桂朮甘湯のファンが多い当院にとっては大変な痛手です。早く正常の状態に戻ることを願っています。