50才台のＡさんが、「最近、元気に仕事や家事が出来なくなった。」と少し涙目で来院されました。以前、更年期障害で加味逍遙散を出したことがありましたが、少し違う気がしてきました。

最近、何をしても、ご主人に文句を言われるそうで、辛いと訴えられています。薬剤師である妻に傾聴してもらうと、Aさん以上に妻は憤慨して私のところに来ました。「子供が成長し、大人になり、就職、結婚、子育て、離婚、色々あろうけど、お前の育て方が悪かった、お前が悪いと言われれば、誰だって状態悪くなっちゃうよ。私だったら反撃するのに。先生とりあえず83番を選択肢に入れてくださいな。」と小さい声で報告がありました。Aさんのところに行くと、言いたいことが言えたせいか、少しすっきりした様子です。とりあえず抑肝散加陳皮半夏を2週間分処方しました。

２週間後、診察室で再会したAさん、笑顔で「先生、旦那の言うことがあまり気にならなくなりました。夜もよく眠れます。」、こんな時はこっちまで嬉しくなり小躍りしたくなります。お守りに抑肝散加陳皮半夏を２週間処方しましたが、「おかげで昼間も眠たくなる始末、飲む回数を減らしていいですか？」「はい、自分で調節してください。旦那さんが気になったときでも飲んでください。」それ以降、Aさんとは会っていません。お嬢さんが時々来られるので、「お母さん、元気？」と尋ねるとお元気とのこと、めでたしめでたし。